青春ラブコメSF?

イリヤの空、UFOの夏」という小説を読んでいました。実は久しぶりの小説読みだったりします。何度か書いてますが、学生時代はそれこそ三日で1冊、年間120冊以上というハイペースで読んでいたことを思うと、なんだか馬鹿になったような気すらします(おーい)。
それはともかく、うーん、ちょいジュブナイル系かなあって感じですけど、結構人気もあるのでしょうか、先日DVDアニメにもなったりしていたようでした(CMでちらっと?)。
作者の方は知り合いというほどではないんですが、先輩の弟ということでなんとなく親近感があったりします。大学卒業したらアメリカ行ってグレゴリーベンフォードに師事するのだ!とか言っていたというのを聞いた気がするほど、どちらかというとハードSF者だったイメージなんですが、ウィットに飛んだ会話やストーリーのテンポはライトノベルにもずいぶんと適応しているなあ、と思わせました。というかライトノベルなのでそういうスタンスなんでしょうけど。
アイテムはセオリーをずらーっと並べた感じなんですが話がうまいなー。活字で読んでても何度も吹き出しちゃうし、ぐいぐい先を読みたい気にさせる。前半の能天気に明るい学園ラブコメ風な展開が、予想通りかなり深刻なラストへ向かってぐいっと舵を切るところなんざ、夢中で読み進めてしまいました。あー、連載中じゃなくてまとまってから読み始めて良かったなー(^^;。
たぶんライトノベルの読者層だと、完全なハッピーエンドを期待したりする向きもあるんでしょうけど、その夏は一度しか来ないってのが最初からわかっている展開で、だから、これはこれで完全なラストなんだと思います。ほんとうにわずかながらも希望は残っているようなオチでもあるわけで、そのうち再会もありえるんじゃ?って無理矢理にでも思える隙があるのはGoodかな、と。
しかし、もうちょっと長く読み続けたかったなあ。そういう意味では連載で読んだ方が良かったか。とにかくお勧めですよ。まあ、小説として読むよりも、漫画に近い感覚で読むことになると思うんですけど(やっぱり通常の小説?に比べて会話で進行していく部分が多いし)。さてさて、氏の著作だと、あとかなり支持を得ているらしい「猫の地球儀」というシリーズがあるので、そちらも併せてどうぞ、ということになる。
作者の感性から言えばアルジャーノンとか夏への扉で泣ける人にはお勧めできそう。